2020年度の指導案について

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こちらの指導案はみらプロ(2020)の指導案等です。


見つけよう 伝えよう わたしたちのまちの魅力

地域の魅力を発信する際に、LINEのチャットボットを活用する。メッセージングツールがどのように情報コミュニケーションを変えたか、情報モラルについても学習する。

実践報告
2020年2月: 2019年度実践報告 「広めよう 私たちのまちのみりょく (京都市立紫野小学校)」 が公開されました
改訂履歴
  • 2019年12月: 「修正意見」生かした指導例別案を追加しました。ページ下部のボタンから参照ください
  • 2019年12月: 探究的な学習にするための授業実施時のアドバイス(「修正意見」)こちらからご確認ください

学習活動の概要

単元や題材などの目標

自分たちの学区(以下,まち)を初めて訪れる人たちを対象にした場合,どんな「もの・こと・場所」を紹介するのか,探究的な学習を通して,考えを深めることで,自分たちの住むまちの魅力を発見もしくは再発見する。また,見つけた魅力について方法を工夫しながら発信することで,コミュニケーション能力を高めるとともに,自分たちのまちに愛着と誇りをもつことを目指す。

単元や題材などの学習内容

本題材は,新学習指導要領第3の2(9)の「第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミング教育を体験することが探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。」に基づき指導するものである。

1次においては,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,話し合う。自分たちの意見に終始せず,身近な人たちの意見を整理・分析することで,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力として,まとめ・表現できるようにする。

2次においては,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について伝える際,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どんな方法があるのか,考える。その後,伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,それぞれの方法で発信する。ここで,伝える方法の一つとして,LINE BOTと出合い,プログラミング体験をする。

3次においては,伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,実際に校外に出て,それぞれの方法で発信する。ここで,国内外からの観光客に発信することを通して,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力に対して,思いや考えを深めたり,魅力を再発見したりできるようにする。

総合的な学習の時間の学習とプログラミング体験との関連

総合的な学習の時間において,プログラミング体験を取り入れた学習活動を展開する際,育成することを目指すのは,以下の2つのことである。まず,探究的な学習の過程に適切に位置付け,探究的な学習において論理的思考力を育成すること。次に,コンピュータの動きをよりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。使用する学習ツールに関しては,プログラミングを学ぶために作られたものだけでなく,「課題の設定」や「情報の収集」等,探究的な学習に活用可能なものであり,できるだけ操作の習得に時間がかからないものが望ましい。

本単元では,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,伝える方法の一つとして,プログラミングを活用する。具体的に説明すると,次のようになる。児童が校外での活動に出て,観光客と出会ったとする。まず,「どこに行きたいか。どんな場所に行ってみたいか」等,観光客のニーズを児童が聴き取る。つづいて,そのニーズにあわせてプログラミングにより,観光客に「おすすめのもの・こと・場所」を提示していく。提示する内容は,写真や動画,説明文等の順序及び動作を組み立てられたものである。写真や動画,説明文等を自分が意図した順番やタイミング等で一連の動きとして表現するためには,一つ一つの個別の動きをつなげたものであることが分かることや,一つ一つの個別の動きには,それらに対応する命令が必要であることが分かる。また,たとえば,外国人や高齢者,子ども等,伝える対象によって提示する情報を変えるためには,条件を設定することで命令を分岐させる必要があることを理解させることができる。さらには,実際に校外に出て,国内外からの観光客等に伝えた後,成果と課題を話し合い,それらを踏まえて練り直すことで,コンピュータに意図した処理をどのように改善すれば,意図した一連の動きに近づくかを試行錯誤する学習にもつながる。

このように,プログラミングを体験する学習を取り入れることにより,探究的な学習を深めるとともに,自分が意図する情報発信の方法を論理的に思考する学習となることが期待できる。

企業の協力内容
ゲストティーチャー学校訪問
  • メッセージングツールが変えたコミュニケーションの仕組み
  • 情報を発信する時の情報モラル
  • プログラミングにより自動応答ができるプログラム(LINE BOT)があることも説明してもらい、すべての児童が知る。

学習指導計画例(総時数:35時間)

0次:みらプロの授業を始める前の共通指導案(1時間)
目的

私たちの日常生活や社会において「技術」が活用されていることを理解するとともに、これからの未来について考えることで、この後に行われる企業と連携した総合的な学習の時間の授業に関心をもって取り組めるようにすること

  1. 現在の私たちの生活を便利にしている「技術」が存在すること
  2. 今後も様々な社会の問題を解決して未来を作っていく活動が重要であること
  3. それを担っていくのは私たち(児童)だという理解をすること
本時の展開
  • 生活を便利にしている「技術」を知る
    • 現在の生活の便利さが、昔は当たり前ではなかったこと
    • 現在でも様々な「技術」が私たちの生活を便利にしていること
  • 私たちの生活にはすでに様々な「技術」が導入されており、生活を便利にしてくれていることを知る
    • 学校・家の中にコンピューターやコンピューターに関連するものはありますか?
    授業資料(社会の問題を解決して生活を豊かにするために「技術」か゛使われている例)を参考に説明し意見の交流を行う
  • 様々な社会の問題を解決して、未来を作っていく活動が重要であることと、それを担っていくのは私たち(児童)だという理解をすること
  • 上記までの指導をふまえて、今後行う企業と連携した授業を説明する

1次:地域の魅力について確認する(11時間)

自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,話し合う。

  • 「自分たちのまちを初めて訪れる人たち」とは,主に国内外からの観光客を指すが,ウェブサイト上を含めると,世界中の人たちを指すことに気付くようにする。
  • どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,その内容については,自分たちが既に知っていることだけに終始せず,まちのことに詳しい人へのインタビューをはじめ,調べたことを含めるようにする。
【課題の設定】(2時間)
  • 自分たちのまちにどんな「もの・こと・場所」があるのか,自由に話し合う
  • 自分たちの学区を初めて訪れる人たちを対象にした場合,どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,根拠を明らかにしながら,「自分たち」の意見を絞っていく。
    • 「自分たちのまちを初めて訪れる人たち」とは,主に国内外からの観光客を指すが,ウェブサイト上を含めると,世界中の人たちを指すことに気付くようにする。
    • どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,その内容については,自分たちが既に知っていることだけに終始せず,まちのことに詳しい人へのインタビューをはじめ,調べたことを含めるようにする
【情報の収集】(4時間)
  • 全校児童・保護者・教職員を対象に,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,アンケート調査をする。
    • アンケートの「対象・内容・方法」について話し合うようにする。
  • 自分たちのまちについて詳しい人をゲストティーチャーとして招き,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どの「もの・こと・場所」を紹介するのか,インタビューをする。
【整理・分析】(3時間)
  • 全校児童・保護者・教職員を対象にしたアンケートとゲストティーチャーとのインタビューの結果を整理しながら,「自分たちのまちに住むみんな」の意見を根拠とともに絞っていく
【まとめ・表現】(3時間)
  • 自分たちのまちに住むみんなで考えたまちの魅力について,全校児童・保護者・教職員に伝える
2次:地域の魅力を発信するLINEボットを作ろう(12時間)

「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について伝える際,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どんな方法があるのか,考える。その後,伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,それぞれの方法で発信する。

  • パンフレット等の紙媒体,ウェブサイト,街頭宣伝といった方法を考え出すことが予想される。そこで,伝える方法の幅を広げることを目的として,LINE BOTを紹介する。LINE BOTについては,すべての児童が,機能等を知ることができるようにする。
【課題の設定】(1時間)
  • 「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について伝える際,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どんな方法があるのか,考える。
【情報収集】(8時間)
  • LINEの人たちをゲストティーチャーとして招き,LINEとLINEボットについて説明をしてもらう(2時間)
    • メッセージングツールが変えたコミュニケーションの仕組み
    • 情報を発信する時の情報モラル
    • プログラミングにより自動応答ができるプログラム(LINE BOT)があることも説明してもらい、すべての児童が知る。
  • LINE BOT等を用いて「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,自分たちのまちを初めて訪れる人たちに伝える準備をしてプログラムを開発する
    • LINE BOTのプログラミングの使い方を説明する(1時間)
    • グループに分かれて設計を行う(2時間)
      • 例:「おすすめの場所」と入力されたら、「〇〇寺の大きなクスノキがおすすめです」と返す
    • プログラムを開発する(2時間)
    • その後,グループ同士で交流する。(1時間)
プログラミング体験例
目的

自分たちの住むまちを初めて訪れる人たちに、まちの魅力を紹介するチャットボットを作る

実施内容
  • チャットボットの設計をする
  • チームに分かれて、ロジックの設計を行う
  • (先生)LINE BOTのセットアップをする
LINEのチャットボットを開発するには様々な方法がありますが、ここではPrograChatを使う例を紹介します。
詳細は、LINEチャットボットを使ってまちを紹介しよう(指導者用資料)を確認してください。 (Word版はこちら)
【整理・分析】(1時間)
  • LINE BOT等を用いて「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について伝える際,自分たちのまちを初めて訪れる人たちを対象にした場合,どんな点に留意して制作すべきか,話し合いながら、制作する。
【まとめ・表現】(2時間)
  • 「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,LINE BOT等を用いて全校児童・保護者・教職員及びゲストティーチャーを対象に伝える。
3次:地域の人の感想を聞く(12時間)

「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,LINE BOT等を用いて全校児童・保護者・教職員及びゲストティーチャーを対象に伝えた。このことを受け,校内には伝えられたが,より多くの人に伝えるべきであるとゲストティーチャーにアドバイスを受ける等して,校外に出るきっかけとする。伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,実際に校外に出て,それぞれの方法で発信する。

【課題の設定】(2時間)
  • 伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,実際に校外に出て伝える際,どんなことに留意するべきか,話し合う。
    • 伝える相手が「どこに行きたいか。どんな場所に行ってみたいか」等,必ずニーズを聴き取った上で,伝えるようにする。ロールプレイング等をすることで,決して,伝える側からの一方通行にならないように留意できるようにする。
【情報の収集】(3時間)
  • 伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,実際に校外に出て伝える。
【整理・分析】(2時間)
  • 実際に校外に出て伝えてみて,どうだったか,活動をふりかえる。
    • 伝える方法ごとにグループに分かれ,成果と課題を明らかにする。その際,伝える方法のことだけに話し合いを終始せず,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力に対して,思いや考えを深めたり,魅力を再発見したりできるようにする。
  • 実際に校外に出て伝えた後の成果と課題を踏まえて,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について伝える方法を練り直す。
【まとめ・表現】(3時間)
  • 伝える方法ごとにグループに分かれ,「自分たちのまちに住むみんな」で考えたまちの魅力について,実際に校外に出て伝える。

こちらの学習について、「修正意見」生かした指導例別案を追加しました。学校での指導計画作成にご利用ください。 (指導案別案作成にご協力頂いた先生方はこちらに記載しています)

探究的な学習にするための授業実施時のアドバイス(「修正意見」)

こちらの学習について「修正意見」を頂きました。学校での指導計画作成にご利用ください。 (修正意見にご協力頂いた先生方はこちらに記載しています)

  • この単元の前に,まちのことについて調べている経験があるとよい。
    社会科,これまでの総合と関連付けると効果的だと思う。
  • 「はじめて訪れる人向け」の学習に,前提なく入るのは無理ではないか。1次で,初めて来る人向けに何かをするのが重要,という課題設定が必要。
  • はじめて訪れる人は,たいがい戸惑っているのではないかと予想できる。そこで、困りごとを解消するという課題もあり得る
  • まちにどんな「もの・こと・場所」があるのか自由に話し合うのは無理難しい。地域に地図をもって出て,[きれいなもの][意外なもの][めずらしいもの]というような視点で,気付いたものをマッピングしてくる活動を先行させるとよい
  • 地域の人に伝えるべき「もの・こと・場所」を教えてもらうのはどうか。はじめて訪れた人におすめの場所を紹介したい,はじめて訪れる人の困り事で解決してあげたい,などの課題が設定されて,分岐していくと良い
  • LINE BOTにもっていくところが唐突。人がはじめてのまちに来たときにすることを,調査する活動→情報検索が多い→質問型の検索も多い→Botはどうか,という流れをつくる
    他の事例なども参照するとよい:https://response.jp/article/2018/10/15/315042.html
  • 作ったBOTを使ってもらうためのキャンペーンを,駅,市役所,観光地などに設置してもらう活動を3次に置くべきではないか
  • 実際にBOTが使われたか,その感想はどうかをフィードバックする仕組みを作りたい

こちらの指導案はみらプロ(2020)の指導案です。